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JISめっき記号
アルマイト処理
E-MAIL
 


株式会社 
林メッキ工業所
 
新潟県長岡市
西新町2丁目5番8号 
TEL0258(32)1470 
FAX 0258(36)4058

めっき メッキ 無電解ニッケル アルマイト 硬質クロム 三価クロメート 
クロム 三価黒クロメート 硬質アルマイト カニボロン  エコ 環境 エコロジー 六価クロムフリー RoHs 鉛フリー Co2 ソーラー 温暖化 レスキュー ロボット
 


アルマイト処理

 

各種材料の陽極酸化処理性と皮膜の色調 展伸材及び鋳物用合金の表面処理適応性
  陽極酸化皮膜の性質と合金成分の関係
使用環境と適合性 表5 陽極酸化皮膜の耐食性
  各種薬品に対する耐食性
硬質陽極酸化皮膜 表6 硬質アルマイトの応用
  皮膜の性質
陽極酸化処理の応用製品  

皮膜厚さ

 

各種材料の陽極酸化処理性と皮膜の色調


展伸材及び鋳物用合金の表面処理適応性

 
組   成
適   応   性
保護皮膜用
染色皮膜用
光輝皮膜用
展伸材合金
1099
1080
1050
1100
3003
4043
△ *
×
5052
5154
5056 5%Mg
5056 7%Mg
6011
6061
6063
6066
6351
2014
△ *
×
2017
△ *
×
2018
△ *
×
2024
×
7N01
×

  
 
組   成
適   応   性
保護皮膜用
染色皮膜用
光輝皮膜用
鋳物用合金
AC8B
×
×
L5
×
×
AC2B
△ *
×
AC7A
AC3A
×
×
(BSRR50)
(AC4C)
△ *
×
AC4A
×
×
AC7B
△ **
AC1A
ANSI222
△ *
×
AC3A
×
×
×
AC5A
△ *
×
(AA-B650)
×
AC4D
□ 
△ *
×
ANSI336.0
×
×
ANSI443
△ *
×
AC2B
△ *
×
AC9A
×
(AC2C)
△ *
×

◎優れている  ○非常に良い  □良い  △中程度  ×不適
*濃色のみ適する  **処理条件に注意


陽極酸化皮膜の性質と合金成分の関係

陽極酸化皮膜の性質は、含有される元素等により変化する。
表2にこれらの関係を示す。


表2 皮膜の性質と合金成分の関係
皮膜の性質
合 金 成 分
皮膜の透明性 
 アルミニウムの純度
不透明性 
 不純物元素(Fe、Si、Mn、Mg)
発色性 
 添加元素(Si、Mn、Cr、Mg)
光輝性 
 アルミニウムの純度、添加元素(Mg、Si)
膜厚の不均一性 
 添加元素(Cu、Si)

展伸材、鋳物材の陽極酸化皮膜色、表面処理適応性(保護染色、光輝皮膜用)合金の表面色調の調和性については、表3の通りである。


表3 アルミニウム合金展伸材の陽極酸化皮膜色
合金系
代表的合金
陽極酸化皮膜の色調
硫酸法
しゅう酸法
純A
1050
1100
銀白色
金色 - 黄褐色
A-Cu系
2017
2024
灰白色
淡褐色 - 灰紅色
A-Mn系
3003
3004
銀白色 - 淡黄色
黄褐色
A-Si系
4043
灰色 - 灰黒色
灰黄色 - 灰黄黒色
A-Mg系
5005
5052
5083
銀白色 - 淡黄色
黄金色
A-Mg-Si系
6061
6063
銀白色 - 淡黄色
黄金色
A-Zn系
7072
銀白色
黄金色

 

表4 合金鋳造とダイカスト合金の陽極酸化皮膜
JISの合金種類
含有成分
陽極酸化皮膜の色調
硫酸
しゅう酸










JIS H 5202
1A、1B、5A

多Cu系でSiの少ないもの
淡赤色
淡赤褐色
2A、2B、3A
4A、4B、4C、4D
8A、8B、8C
Siが5%以上のもの
灰→濃灰
灰色→濃灰
7A 多Mg系でSiの少ないもの
白銀色
褐色











JIS H5302
ADC 1、3、10、12、14
多Si系
灰→灰黒
黒褐色
ADC 5、6 多Mg系でSiの少ないもの
透明→白銀色
金色


使用環境と適合性


表5 陽極酸化皮膜の耐食性
使用環境
硫酸皮膜
しゅう酸皮膜
A
A
井戸水
A
A
水道水
A
A
海水
B
B
B
B
梅酢
酢酸(無水酢酸)
B
塩酸
F
硝酸
B
B
硫酸
E
E
水酸化ナトリウム
F
F
日本酒
A
A
ビール
A
A
ウィスキー
A
A
ブドウ酒
B
B
醤油
C
C
ソース
C
C
バター
A
牛乳
A
アセトアルデヒト
A
アセトン
A
無水アンモニア
A
アンモニア水
A
酢酸アミル
A
アルコール
A
ベンゼン
A
酪酸
A
二酸化炭素
A
一酸化炭素
A
ホルマリン
A
グリセリン
A
窒素
A
酸素
A
フタール酸
A
ピクリン酸
A
ゴム
A
ステアリン酸
A
食用油類
A
鉱油類
A
天然ガス
A
血液
A
石けん
A
粉石けん
B
中性洗剤
A

A:容器として可
B:試験として使う必要がある
C:容器にはならないが皿のごとく洗って使用すれば可
D:腐食を覚悟で使用する必要あり
E:相当に侵食される
F:仕様に耐えない

各種薬品に対する耐食性

薬液の作用は次のように分けることができる。
1) 酸化皮膜を侵し、アルミニウムが不安定なもの。
例えば、アルカリ類、酸類、水銀塩類、また漂白剤の水溶液、液体ふっ化水素、クロロホルムなど。
2) 局部的に酸化皮膜を侵し、ある条件下でのみアルミニウムが安定なもの。
例えば、食塩水、有機酸、硝酸、少量の重金属を含む水溶液など。
3) 酸化皮膜を侵さず、アルミニウムが安定なもの。
例えば、食品の大多数。一般に酸化皮膜はpH5〜8では安定である。

 

図1 pHを異にする各種薬品に対するアルミニウムの腐食速度

1.酢酸 6.硫酸
2.塩酸 7.水酸化アンモニウム
3.ふっ化水素酸 8.炭酸ナトリウム
4.硝酸 9.二けい酸ナトリウム
5.りん酸 10.水酸化ナトリウム

ただし、酢酸(1×10-5〜17.4N)、水酸化アンモニウム(1×10-5〜15N)、二けい酸ナトリウム(1×10-5〜1N)、その他のものは1×10-5〜0.1Nまでの濃度


硬質陽極酸化皮膜


陽極酸化皮膜のうち、皮膜硬さ及び耐摩耗性に優れた皮膜は、硬質陽極酸化皮膜または硬質皮膜と呼ばれて工業用機器類を始めとする色々な用途の製品に処理されている。1995年に、JIS H 8603 『アルミニウム及びアルミニウム合金の工業用硬質陽極酸化皮膜』がISO10074に準拠して制定され、各種製品に使用する場合の性能基準が明確になった。
硬質皮膜の厚さは50μmが標準とされているが、使用目的によって25〜150μmのものが使用されている。表6に応用例を示す。

表6 硬質アルマイトの応用
分野
処理部品例
電子機器及び
自動制御機器関係
コンピュータ用ローラ及ドラム、コナンプレート複写機用送り機構、カムギャー、スプール、ピストン、キャプステンテープガイド、テープドラムなど。
VTR部品、弱電計測機の記録装置部品
電気機器関係 ジューサー、ミキサー部品、電子レンジ用パネル裏ぶた、タイマー円板、映写機ローラ
紡績機、編機、
縫製機関係
糸車、テンションワッシャー、ローラ、リングなど。
自動編機ボディ、ミシン用針棒クランク
自動車部品関係 オイルシリンダー、ブレーキシリンダーおよびピストン、キャブレター、オートバイハンドル
光学関係 水中カメラのボディ、一般カメラ摺動部分、顕微鏡テーブル
時計関係 腕時計ケース、リュース
圧縮機 ピストン、シリンダー、バルブ
一般機械 パーツフィーダ、コンベア、滑車カム、食品機械加工部品、自動硬貨選別機のロール、自動改札機、印刷機用ドラム、フィルム製造装置のガイドローラー、小型農機具部品、医療器ロータ、製粉機用円板、歯車、油圧ペアリング、バルブボディ、デフレフトシリンダー、モータープーリー、郵便物の仕分機ローラー、タバコ巻機用サクションプレートおよびドラムセグメント
スポーツ・
レジャー用品
洋弓洋矢、ラケット、ボーリング用ピンセッター部品、スキープレート、釣用リールローター、水中銃パイプ
その他 器物、ライター、化学プラント用エルボ、消防ホース用継手、洋傘シャフト、メガネフレーム、ゴム型、菓子型、プレス型


皮膜の性質

JIS H 8603硬質皮膜の規格では、素地材質を5種類に区分して、それぞれの品質基準が示されている。その概要を表7に示す。

表7 JIS H 8603-1999 アルミニウム及びアルミニウム合金の
硬質陽極酸化皮膜の硬さおよび耐摩耗性要求品質
種 類
材      質
微小硬さ
HV
耐摩耗性試験
往復運動*3
平面摩耗 %
噴射摩耗 %
*3
平板回転摩耗
mg
1種
JIS H 4000. 4100. 4140. 4040. 4080.
に規定する展伸材の内 2種に属す合金を除く
400以上
80以上
80以上
15.0以上
2種(a)
2000系   展伸材
250以上
30以上
30以上
35.0以上
2種(b)
Mg2%以上含む
5000系及び7000系伸展材
300以上
55以上
55以上
25.0以上
3種(a)
JIS H 5202. 5302.に規定する鋳造材の内
 Cu 2%未満
 Si  8%未満の合金
250以上
*2
*2
*2
3種(b)
3(a)を除く他の鋳造材
*2
*2
*2
*2

*1.受渡し当事者間で選択する。
*2.受渡し当事者間の協定にする。
*3.耐摩耗性基準試験片に対する比(%)


1)皮膜の硬さ

硬質皮膜の用途上最も重要な性能は耐摩耗性で、その代用特性として硬さが使われる傾向にある。酸化皮膜は、素材が酸化物として皮膜を作るため素地材質成分とその含有量により強く影響を受け、皮膜硬さは素地材質によってある程度決まってしまうが、それを電解液や電解条件など電解方法を改良して向上を図っている。電解中には溶解する合金成分を多く含有する合金の皮膜硬さは低い値となる。
皮膜硬さは断面の測定をJISは指定している。断面硬さは素地側が高く、表面側は低くなるので、皮膜断面の中央で測定する。

 

2)皮膜の耐摩耗性

従来、平板回転摩耗試験(デーバ摩耗試験)が多く使われていたが、往復運動平面摩耗試験と噴射摩耗試験が新しく採用され、この中から用途に合った試験方法を使えばよいことになった。封孔処理によって耐摩耗性が低下する為ため、硬質皮膜は、通常耐食性を必要とする場合を除いて封孔処理は行なわない。封孔処理による平板回転摩耗試験の影響を表8に示し、耐摩耗試験の比較試験例を表9に示す。

表8 皮膜硬さと平板回転摩耗
材料
皮膜厚
25μm
50μm
80μm
 
皮膜硬さ
平板摩耗
皮膜硬さ
平板摩耗
皮膜硬さ
平板摩耗
A5052
未封孔
422HV
10.2mg
409HV
11.0mg
416HV
18.6mg
封 孔
427
27.1
418
22.5
425
38.4
A1050
未封孔
418
11.2
425
10.5
411
11.1
封 孔
433
16.2
436
17.4
427
19.2

 

表9 JIS H 8603 硬質陽極酸化皮膜の耐摩耗性試験
材料
往復運動平面摩耗
噴射摩耗
平板回転摩耗
ds
減摩量μm
ds/μm
比率
μm
s/μm
比率
CS-17mg
A1050
700
16.2
43.21
100
51.5
285
5.5
100
8.1
8.9
9.3
A2014
300
24.2
12.40
28.7
49.2
130
2.6
45.6
22.8
300
24.1
12.44
28.8
52.1
120
2.3
40.3
22.3
A2024
300
25.3
11.86
27.4
52.4
130
2.5
43.9
24.8
300
21.3
14.08
32.6
48.6
130
2.7
47.4
23.6
A7075
700
28.2
24.82
57.4
49.1
150
3.1
54.4
13.2
700
25.8
27.13
62.8
53.1
180
3.4
59.6
16.5

硬質皮膜の耐摩耗性は表面側が低く、素地側はやや高い値となる。このため平板回転摩耗試験では1000回転の予備摩耗を指定している。



3)硬質皮膜の色彩変化

表10 硬質皮膜の色彩変化
材 料
色  彩  変  化
A1050
素地色 → 薄灰褐色 → 灰褐色 → 濃灰褐色
A1100
素地色 → 薄灰褐色 → 灰褐色 → 黒灰褐色
A2017
素地色 → 薄灰色 → 灰色 → 濃灰色
A3003
素地色 → 薄灰褐色 → 濃灰褐色 → 暗灰褐色
A4043
素地色 → 薄灰青色 → 灰青色 → 暗灰青色
A5052
素地色 → 薄褐色 → 濃灰褐色 → 暗灰褐色 → 黒褐色
A5056
素地色 → 薄茶褐色 → 茶褐色 → 暗灰褐色 → 黒褐色
A6061
素地色 → 薄灰褐色 → 灰褐色 → 暗灰色 → 黒灰色
A7075
素地色 → 薄茶褐色 → 濃灰褐色 → 青灰色 → 青白灰色
AC2A
素地色 → 薄灰褐色 → 灰色 → 暗灰色
AC4A、4C
素地色 → 薄灰色 → 灰色 → 暗灰色 → 黒灰色
AC7A、7B
素地色 → 薄灰褐色 → 灰褐色 → 暗灰褐色 → 薄灰褐色

 

4)角部における皮膜の形成と望ましい形状

製品形状に鋭角部があると、図14-1(皮膜形成)に示すように皮膜は均一に形成されない。角部の望ましい形状は、図14-2に示すとおり。角部の曲率半径を表11に示す。


図14-1 角部における皮膜形成

     
(凹部における硬質皮膜)
(凸部における硬質皮膜)


  
図14-2 角部の望ましい形状




表11 皮膜厚さと角部の望ましい曲率半径
公称皮膜厚さ(μm)
MIL指定曲率半径(mm)
望ましい曲率半径(mm)
25

0.8

1.0以上
50
1.6
2.0以上
75
2.4
3.0以上
100
3.2
4.2以上

MIL A8625

 

5)皮膜厚さと寸法増加

皮膜厚さは平均値を使用する。鋳造材のように皮膜厚さの不均一が避けられない合金材も取扱う為である。硬質皮膜の皮膜厚さに指定がない場合、海外規格では50μmを標準としている。酸化皮膜は合金種によって多少割合が変化するが、素材の内側に約1/2、外側に約1/2成長するので、製品の完成寸法に注意が必要である。

図4 皮膜形成と増加厚さ

 

陽極酸化処理の応用製品


表12
 陽極酸化処理の応用製品
製   品
要求特性
表面処理
磁気ディスク 非磁性、強度、剛性、軽量
表面:平滑、硬度、耐熱
超精密鏡面加工
無電解めっき、アルマイト、スピンコート、スパッタ
ポリゴンスキャナミラー 表面平滑、切削性 超精密鏡面加工
複写機ドラム材 表面平滑、誘電性 超精密鏡面加工、蒸着
電解コンデンサ 電解エッチングせい 電解エッチング
バリヤー型陽極酸化皮膜
フィン 水ぬれ性、耐食性、加工性、
工具非摩耗性
塗装 + 親水処理、親水性塗装、水和酸化皮膜
PS版 耐刷性、保水性、密着性 粗面化、アルマイト、感光剤塗布
建材 耐食性、美観、多様化 アルマイト、塗装(ふっ素樹脂)
超高真空装置 放出ガスが少ない 特殊押出
自動車用熱交換器 耐食性、軽量 クラッド材
フィンとチューブの材料組合せ
亜鉛の拡散処理
静電破壊防止
電磁シールド
帯電防止
導電性
導電アルマイト
分離膜
精密ろ過フィルター
(生化学用)
細孔径 微細孔規制制御
自動車
機械部品
釣り具
潤滑性、平滑、軽量 潤滑アルマイト
衛生器具
建築金物
抗菌性、美観 抗菌アルマイト
排ガス処理
溶剤処理
触媒担持 触媒担体アルマイト
プリント・ハイブリット
太陽電池の基盤
絶縁抵抗 絶縁アルマイト

 

 

皮膜厚さ


皮膜厚さの等級

皮膜厚さは、平均皮膜厚さ(μm)によって表し、表13に適合しなければならない。
なお、皮膜厚さの等級は、製品の用途及び使用環境などを考慮して選択するが、受渡当事者間で特別な協定がない限り、表13による。

表13 皮膜厚さの等級
等級
AA3
AA5
AA6
AA10
AA15
AA20
AA25
平均皮膜厚さ
μm
3.0
以上
5.0
以上
6.0
以上
10.0
以上
15.0
以上
20.0
以上
25.0
以上

備考:定められた平均皮膜厚さの80%に満たない測定点皮膜厚さがあってはならない。

 

皮膜厚さの等級と主な用途例

皮膜厚さの等級は、製品の用途及び使用環境を考慮して選択するが、受渡当事者間で特別な協定がない限り、表14による。
なお、用途によって特別な皮膜厚さが要求される場合には、表13に規定する平均皮膜厚さの等級にない平均皮膜厚さを決めてもよい。

表14 皮膜厚さの等級と主な用途例
皮膜厚さの等級
主 な 用 途 例
AA3
反射板、家電部品(内部)など
AA5
AA6
AA10
台所用品、日用品、家電部品、装飾品、家具部材、車両内装、建築部材(屋内)など
AA15
AA20
AA25
台所用品、車両外装、土木・建築部品(屋外)、船舶用品など

備考:用途上必要な場合は、受渡当事者間の協定によって平均皮膜厚さの等級によらず、最低皮膜厚さを取り決めてもよい。


陽極酸化皮膜構造

模式図に示す陽極酸化皮膜の構造

模式図


陽極酸化用アルミニウム材料の品質指針

この文書は、陽極酸化用アルミニウム材料の品質に関する指針を示すものであり、規定の一部ではない。

1.陽極酸化用アルミニウム材料の陽極酸化品質

アルミニウム材料は、すべての合金やどのような形状であっても、陽極酸化処理ができるが、得られる皮膜の外観、最大皮膜厚さ、反射率、耐摩耗性、耐食性、絶縁耐力性などの皮膜品質は、合金の種類によって異なる。陽極酸化皮膜の保護特性は、工業的に製造されている大部分のアルミニウム材料において優れている。しかし、外観の均一性又はその他の特殊な特性(例えば、光輝仕上げなど)が必要な場合は、アルミニウム材料の化学成分又はや(治)金学的に精度の高い工程管理と特別に管理された生産工程によって製造し、その結果、高水準の表面仕上げと、その特性が生かされる陽極酸化処理が可能な特殊品位のアルミニウム材料が生産されている。 これらの品質は容易に類別できないが、特別な産業又は顧客の要求に見合う材料が開発されている。工業的に使用されている代表的なアルミニウム材料の種類と陽極酸化処理性の例を表15に示す。

 

表15 アルミニウム材料の陽極酸化処理性の例
合金番号
陽極酸化処理の目的
防食
染色
光輝
耐摩耗
1080
A
A
A
A
1070
A
A
A
A
1050
A
A
A
A
1100
A
A
A
A
2011
C
C
D
C
2014
C
C
D
C
2017
C
C
D
C
2024
C
C
D
C
3003
A
B
C
A
3004
A
B
C
A
4043
B
B
D
B
5005
A
A
B
A
5052
A
A
B
A
5056
A
A
C
A
5083
A
A
C
A
5N01
A
A
A
A
6061
A
A
C
A
6063
A
A
B
A
6N01
A
A
C
A
7075
B
B
C
B
7N01
B
B
C
B
AC1B
C
C
D
C
AC2A
C
D
D
C
AC3A
B
D
D
B
AC4B
C
D
D
C
AC4C
B
D
D
C
AC5A
C
C
D
C
AC7A
A
A
B
A
AC8A
C
D
D
C
AC9A
C
D
D
C
ADC1
C
D
D
C
ADC3
B
D
D
B
ADC5
A
A
B
A
ADC6
A
B
B
A
ADC10
C
D
D
C
ADC12
C
D
D
C

備考:陽極酸化処理性 A:優、 B:良、 C:可、 D:困難


JISハンドブック 金属表面処理(日本企画協会)
アルミ表面処理ノート(軽金属製品協会試験研究センター)より引用